新・土と生き物

Airborne eDNA

2025-07-02 19:06:17
目次

午前

  • ハンミョウ調査

午後

  • データ整理

  • 大学業務

  • データ整理

水域生態系を対象に大成功を収めつつある環境DNAであるが、陸域生態系については検討が続いている段階である。

水中でDNAが混ざる水域生態系とは異なり、陸域生態系では効率的にDNAを収集するのが難しい。

その打開策として期待されるのが、空気中に浮遊するDNAを収集するAirborne eDNAである。

初めて聞いたときは、「お〜そんな方法があったか」と感心するとともに、「こんなことを考えるとは」と驚いた。

その後、真面目にフォローしていなかったけど、英国内の15地点に設置されている空気のモニタリングシステムを用いてAirborne eDNAの解析を行った論文を見つけた。

まず、解析の結果、脊椎動物、無脊椎動物、植物、微生物など幅広い生物群が確認できたそうだ。

使用する遺伝子領域についても検討されており、無脊椎動物の解析にはCOIが使用されたが、種を特定できたのは57.5%のみで、他の生物群と比べると非常に低い値となっている。

また、DNAの由来が特定できそうな特徴的な外来種などを参考にすると、空気の収集システムから数10km離れた動物を特定できる可能性が示されている。

加えて、市民科学との比較では、eBirdと比べると検出した種数は少ないが、Airborne eDNAにて効果的に検出できている種もいる。また、iNaturalistとの比較では、センチュウなどAirborne eDNAでしか検出できない生物群があることも指摘されている(まあ、それはそうでしょ)。

DNAバーコードを使用する際には常に悩むことだがReferenceデータのエラーの問題など、もちろん検討事項はいくつもあるが、コストの面、検出力の面などから国レベルのモニタリング法として有力であると期待される。

すでに実施している空気のモニタリングシステムを転用できるのは大きい!

気温や降水量のように全国で生物モニタリングがされる日が来るだろうか、、、。

Tournayre O. et al. (2025) First national survey of terrestrial biodiversity using airborne eDNA. Scientific Reports, 15: 19247.

この記事を書いた人

SK

ダンゴムシ・ワラジムシを研究しています! https://diversity.jpn.org/kara/index.html